資金繰りが悪化し、このままでは従業員の給料が払えないと危機感を感じている中小企業の経営者は多いのではないでしょうか。
参議院の調査によると、中小企業は大企業に比べて資金繰りが厳しくなっているという結果が出ています。
現在、我が国の景気は全体としては回復傾向にあり、企業を取り巻く金融環境も改善が続いている。しかし、すべての企業で資金繰りが同程度に改善しているのではなく、中小企業の資金繰りは大企業に比べて厳しいのが実情である。
引用元: 参議院
資金繰りが厳しくなってくると従業員の給料が払えない可能性が浮上しますが、経営者としてはなんとか社員を巻き込まずにピンチを切り抜けたいですよね。
従業員の給料が払えない場合は、事業資金専用のビジネスローンで借り入れをするのがベストです。
ビジネスローンで借り入れをすれば、社員や役員を不安にさせることなく給料に充てる資金を調達できます。
ビジネスローン以外にも役員報酬を減額したり、国の制度を利用したりといった方法がありますのでひとつずつ解説していきます。
- 従業員の給料が払えない場合は役員報酬を減額して給与に充てよう
- 必要な金額だけビジネスローンで借り入れするのも有効な手段
- 従業員の給料を無断で減額するのは労働基準法違反になるため厳禁
給料が払えない場合にしてはいけない行動も解説していますので、参考にしてください。
目次
従業員の給料を払わないと給与未払いで逮捕されるって本当?
経営者が従業員の給料を払わないと、最悪の場合には逮捕されてしまう可能性があります。
なぜなら従業員の給与の支払いは、経営者の義務として労働基準法で定められているからです。
労働基準法は全ての会社が守らなければならない法律であり、違反すると社長などの雇用主に対して罰金や書類送検などの罰則が課せられます。
特に給与の未払いは刑事罰の対象であるため、以下のように雇用主が逮捕されてしまうケースがあります。
滋賀・彦根労働基準監督署は、賃金支払い日に賃金を支払わなかったとして、木造建築工事業のアルファホーム㈱(滋賀県彦根市)と同社代表取締役を最低賃金法第4条(最低賃金の効力)違反の疑いで大津地検彦根支部に書類送検した。代表取締役については、平成29年9月6日に通常逮捕もしている。
引用元: 「3カ月分の賃金未払いで書類送検 代表取締役の逮捕も 彦根労基署」労働新聞社
つまり、給与の未払いは払っていない期間の長さに関係なく違法であるということです。
全ての会社は赤字になったり地震などの自然災害の被害に遭ったりといった場合でも、労働基準法に則って運営しなければいけません。
実際に東日本大震災で被災した企業が賃金の支払い義務について質問したところ、厚生労働省は以下のように回答しています。
【Q5-1】 今回の地震で、1.事業場の倒壊、2.資金繰りの悪化、3.金融機関の機能停止等が生じた場合、労働基準法第24条の賃金の支払義務が減免されることはあるでしょうか。
引用元: 厚生労働省
[A5-1]御質問については、労働基準法には、天災事変などの理由による賃金支払義務の減免に関する規定はありません。
つまり、企業はどのような状況に陥ったとしても必ず給料を支払わなければならないということです。
給料が支払われないと従業員は不信感を抱いてしまい、業務に支障が出る恐れがありますので注意してください。
従業員に不信感を抱かれて業務に悪影響が出る
一度でも支払い遅延をすると従業員から会社の経営が傾いているのではないかと疑われてしまうため、業務に悪影響が出てしまいます。
従業員の給料は、以下のような必要経費のなかでも最優先で支払わなければいけません。
- 従業員の給与
- 買掛金(仕入、外注)の支払い
- 諸経費の支払い
- 税金、社会保険料の支払い
- 銀行への返済金
従業員は給料によって生活を成り立たせているため、1日でも支払いが遅れると公共料金の振込や住宅ローンの返済などができなくなってしまいます。
不満が募った従業員によって労働基準監督署に通報されると是正勧告や指導がおこなわれ、会社の運営に支障が出てしまいます。
是正勧告とは、労働基準法に違反した会社に対して労働基準監督署が状況の改善を求める行為のことです。
是正勧告を受けても状況が改善しない会社は書類送検などの法的手段を取られてしまうケースもありますので、無断で給料の支払い遅延をするのはハイリスクだといえます。
加えて、支払いに遅れると遅延損害金を払わなければいけなくなりますので注意が必要です。
給料の支払いに遅れると遅延損害金を従業員全員に支払う必要がある
給料の支払い遅延を起こすと遅延損害金を支払う義務が生じるため、会社の経済的な負担がさらに増加してしまいます。
給与の支払いに遅れた場合の遅延損害金については、厚生労働省が管轄する東京労働局のホームページに以下のように記載されています。
遅延損害金・遅延利息賃金などが支払われない場合には、本来支払われるべき日の翌日から、遅延している期間の利息に相当する遅延損害金(年利6%)がつくこととされています。(商法514条)
引用元: 東京労働局
つまり、1日でも期日を過ぎると本来の給料にプラスして遅延損害金を支払わなければならないということです。
給料を支払っていない期間が長くなるほど遅延損害金の金額が膨らんでいきますので、早めに手を打たなければ巨額の費用になってしまうリスクがあります。
例えば大手配送会社のヤマトホールディングスは未払い残業代の支払いに、遅延損害金を含めて230億円もの莫大な費用を投じることになってしまった過去があります。
宅配便最大手ヤマトホールディングス(HD)は、全社的な勤務実態調査で判明した残業代の未払い分を、18日に対象者に一斉に支給したことを明らかにした。(中略)未払い分は総額約230億円。
引用元: 「ヤマト、未払い残業代を一斉支給 総額230億円の大半」朝日新聞
遅延損害金が高額になると支払いに追われて会社の財政を圧迫してしまいますので、給料の支払いに遅れてしまった場合は1日でも早く社員に給料を支払いましょう。
支払い遅延が長期間に及ぶと社員から訴訟を起こされ、経済的のみならず社会的にも大きくダメージを受ける恐れがあります。
訴訟を起こされると社会的信用を失ってしまう
給料の支払いが大幅に遅れてしまうと、従業員から訴訟を起こされてしまう可能性があります。
特に未払いの給料の総額が60万円以下であった場合は少額訴訟の対象となり、裁判を起こされるケースが多く見られます。
少額訴訟は1万円ほどの費用しかかからないため、裁判を起こす従業員側の経済的負担が軽いからです。
給料の支払い義務は法律によって定められていますので、従業員によって訴訟を起こされた場合に会社側が勝訴する可能性は極めて低いといえます。
訴訟に敗訴した場合は、遅延損害金を含めた未払い賃金を従業員に対してただちに支払わなければいけません。
未払いの給料が60万円以上だった場合は通常裁判となり、さらに複雑な手続きを取らなければいけなくなります。
判決が出るまでの1〜4年の間に裁判所へ何度も出廷しなければならず、時間的なコストがかかるのもネックです。
加えて裁判沙汰になると新聞やニュースなどで取り上げられるため、企業イメージが悪くなって今後の経営にも支障が出てしまいます。
このように給料の支払いに少し遅れてしまうだけだと高を括っていると、大きな損失を産むことにもなりかねません。
従業員の給料が払えない場合は、社長などの役員報酬を減額して支払うのがベストです。
従業員の給料が払えない時の対処法!役員報酬を減額して支払いに充てよう
従業員の給料が支払えない場合に経営者が最初に取るべき行動は、社長を始めとした役員報酬を減額することです。
取締役や監査役などといった役員への報酬を減額し、予算を捻出して従業員の給料に充てましょう。
事業年度の途中に役員報酬を減額することは通常できませんが、経営状況が悪化するなど止むを得ない事情がある場合は特別に認められています。
業績等の悪化により役員給与の額を減額した企業からの質問に対して、国税庁のホームページでは以下のように回答しています。
経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じたために行ったものであり、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。
引用元: 「役員給与に関するQ&A」国税庁
つまり、正当な理由があれば年度途中で役員報酬を減額しても問題ないということです。
ただし役員報酬の減額は取締役会で決議を取り、役員全員からの賛同を得る必要があります。
無断で報酬を減額するとトラブルの原因となってしまいますので、必ず役員全員から承認を得ましょう。
役員報酬を減額しても間に合わない場合は、ビジネスローンで借り入れするのも有効な手段といえます。
ビジネスローンで必要な金額だけ借り入れするのもひとつの手段
給料の遅延や未払いを回避するためには、金融機関や貸金業者から融資を受けるのもひとつの手段です。
従業員に支払う給料は事業資金として認められており、ビジネスローンで借り入れできます。
ビジネスローンは事業資金に特化しているため、会社経営者への融資に積極的です。
ビジネスローンなら最低10万円から融資を受けられますので、必要最低限の金額だけ借り入れして返済していけば毎月の負担も抑えられます。
従業員の給料だけではなく、取引先に支払いが滞りそうな場合の一時的な資金の補填としても利用できるのも魅力です。
ビジネスローンのおすすめの商品については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
取引先に期限の交渉をして支払いを待ってもらう
金融機関からの借り入れが難しそうな場合は、取引先に期限の交渉をして買掛金の支払いを待ってもらうという方法も視野に入れておきましょう。
取引先に支払いを待ってもらう交渉の際に最も重要なのは、どのような事情で支払いが遅れてしまうのかを正直に話すことです。
私情に訴えかけるのではなく、客観的な事実を述べたうえで支払い期日がいつになるのかということを誠実に話しましょう。
一方的なメールやFAXなどで済ませてしまうのはトラブルの原因になりますので、できる限り訪問して直接交渉する必要があります。
ただし交渉したとしても支払いが遅れることによって信頼関係が悪化して契約を打ち切られたり、債務不履行として訴訟を起こされたりする恐れもあります。
契約が打ち切られたり訴訟を起こされたりすると会社経営に悪影響が出ますので、あくまで最終手段として利用してください。
様々な策を講じても給料が支払えない場合は、従業員に状況を説明して理解を求めることが重要になります。
どうしても支払えなくなったら従業員に状況を説明して理解を求めよう
あらゆる手段を使っても給料日までに給料が用意できないと判断した場合は、必ず従業員全員に対して状況を説明する必要があります。
給料の支払い遅延は生活に関わる事柄であり、従業員の理解を得ることが欠かせないからです。
従業員に事情を説明する際には、以下の3つのポイントが重要になります。
- なぜ払えないのかを正直に説明する
- いつ払えるのかを期日を明確にする
- 謝罪の意思を必ず伝える
説明もなく勝手に給料の支払いを遅延することは許されないため、必ず従業員に対して理由を説明しなければいけません。
説明の際には給料の支払いが遅れてしまうことに対する謝罪と、何日に給料を支払うという期日を明確に伝える必要があります。
給料支払いが遅れた場合は、前述のとおり年利6%の遅延損害金を支払う義務が生じます。
例えば月給20万円の人の支払いが10日遅れた場合の遅延損害金の計算式は、以下のとおりです。
20万円×6%÷365×10日=320円
月給20万円にプラスして、遅延損害金の320円も必ず支払わなければいけませんので注意してください。
従業員に支払いを待ってもらってもどうしても支払いができず、倒産の道を選ばざるを得ない場合は未払賃金立替制度という国の制度を利用することができます。
倒産危機にあるなら国の未払賃金立替払制度を利用する
経営不振により止むを得ず倒産する場合は、未払賃金立替払制度という国の制度を利用して給料を支払うことができます。
未払賃金立替払制度とは、企業が倒産したことにより賃金が支払われないまま退職した労働者に対して未払賃金の一部を国から立て替えてもらえる制度のことです。
未払賃金立替払制度は全国の労働基準監督署および労働者健康安全機構で実施されており、倒産によって退職を余儀なくされた従業員のセーフティネットとして活用されています。
未払賃金立替払制度を利用するには、会社と従業員の双方がいくつかの条件をクリアする必要があります。
会社と従業員がクリアしなければならない条件は、以下のとおりです。
- 事業活動を1年以上おこなっていたこと
- 倒産したこと(破産など法律上の倒産あるいは事実上の倒産)
- 会社が倒産する6ヶ月前から2年以内に退職している
- 未払金の総額が定期賃金と退職手当を合わせて2万円を超えている
- 未払金の総額について破産管財人もしくは労働基準監督署長の証明を受けている
上記のすべての条件を満たしている会社と従業員が、未払賃金立替払制度の対象となります。
未払賃金立替払制度によって立て替えてもらえる金額は未払い賃金の8割までとなっており、退職時の年齢に応じて88〜296万円の間で以下のように上限が設けられています。
未払賃金立替払制度の限度額
退職時の年齢 | 限度額 |
---|---|
30歳未満 | 88万円 |
30歳以上45歳未満 | 176万円 |
45歳以上 | 296万円 |
未払賃金立替払制度を利用した企業は、労働者健康福祉機構に対して賃金を返済する義務があります。
未払賃金立替払制度の対象外である残りの2割の未払い賃金に関しても、従業員に対して支払わなければいけません。
未払賃金立替払制度を利用すると遅延損害金が膨らんで支払額が高額になってしまうリスクを回避できますので、給料の支払いに一定の目処が立ちます。
国は中小企業をサポートする姿勢を持っていますので、やむなく倒産してしまう場合は未払賃金立替払制度に頼るようにしましょう。
従業員の給料が払えないからといって勝手に減額をするのは厳禁
経営者であっても、会社の経営不振を理由に従業員の給料を勝手に減額することはできません。
給料の減額は、従業員が職場の規律に違反した場合にのみ法的に認められているからです。
従業員の減給の規定については、厚生労働省のホームページで以下のように記載されています。
減給の定めの制限(労働基準法第91条)
労働者が、無断欠勤や遅刻を繰り返して職場の秩序を乱したり、職場の備品を勝手に私用で持ち出したりするなどの規律違反をしたことを理由に、制裁として、賃金の一部を減額することを減給といいます。
引用元: 「労働条件・職場環境に関するルール」厚生労働省
つまり職場の規律を乱した従業員への制裁以外の理由で、減給するのは許されないということです。
勝手に減給をすると従業員の反発を招くばかりでなく、労働基準法第91条の違反として30万円以下の罰金が課せられてしまいます。
そのため、どんなに資金繰りに困ったとしても従業員に無断で減給するのは避けましょう。
労働基準法によって定められている賃金支払の5原則を以下にまとめましたので、参考にしてください。
支払い義務は労基法で定められている!必ず守らなければならない5原則とは?
雇用者は労働基準法第24条によって定められている賃金支払の5原則というルールに従って従業員に給与を支払わなければいけません。
労働基準法第24条に記載されている賃金支払の5原則の内容を簡単にまとめたものは、以下のとおりです。
内容 | |
---|---|
通貨払の原則 | 必ず通貨で支払わなければならない |
直接払の原則 | 従業員本人に支払わなければならない |
全額払の原則 | 全額まとめて支払わなければならない |
毎月払の原則 | 月に1回は支払わなければならない |
一定期日払の原則 | 給料の日付を指定しなければならない |
仮に給与を支払っていたとしても賃金支払の5原則を守っていなければ違法になり、30万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役が課せられてしまいます。
そのため賃金支払の5原則は、会社経営者が必ず押さえておかなければならない重要なポイントです。
給与は国内で流通している通貨で支払うことが義務付けられており、宝石などの換金性がある品物であっても現物支給は認められていません。
通貨で支払う義務があるため現物支給は許されない
従業員の給料は必ず通貨で支払う義務があり、これを通貨払の原則といいます。
通貨とは国内で流通している日本円のことを指し、市場の変化によって価値が減少するリスクがあるドルやユーロなどの外国通貨は利用できません。
加えて、現物を給料として支給することも認められていませんので注意してください。
現物支給は換金が不便なうえに価値が不明瞭であり、生活費として成立しなくなる恐れがあるからです。
一見して価値がある商品であったとしても、以下のような品物を給料代わりにすることは禁じられていますので覚えておきましょう。
- 時計
- 貴金属
- 骨董品
- 定期券
- 在庫商品
- 商品券
ただし労働組合と会社が現物支給をおこなう旨を取り決めた労働契約を結んでいる場合は、例外的に認められます。
いずれの場合であっても、給料は従業員本人に直接支払わなければいけません。
給料は親などの第三者ではなく労働者本人に直接支払う義務がある
給料は親などの第三者ではなく、労働者本人に対して直接支払うことが義務付けられています(直接払の原則)。
支払いに第三者が介入することによって、不当に労働者本人の賃金が搾取されてしまうリスクを回避するためです。
例えば親権者などの法定代理人や労働者から給料の受け取りを依頼された弁護士などの任意代理人であっても本人以外に給料を払うのは違反行為となり、罰則の対象になります。
労働基準法では未成年者も独立して賃金を請求する権利を持っていると定められているため、20歳以下の子供の給料を親が代わりに受け取ることも不可能です。
例えば未成年者のアルバイトの給料であっても、親名義の口座に振り込んだり親が直接受け取ったりすることはできませんので注意してください。
加えて毎月の給料は、一括でまとめて支払うことが必要になります。
全額まとめて支払わなければならないので分割払いや天引きは認められない
給料は必ず全額まとめて支払わなければならず、分割払いや無許可の給与天引きは法律違反になります(全額払の原則)。
分割払いを許してしまうと一部の給料だけ支払われず、労働者が不当に会社に足止めされるリスクがあるからです。
分割払いと同様に、従業員に無断で給与天引きをすることも禁じられています。
社内預金や親睦会費、社員旅行積立金などの名目であっても勝手に天引きすることはできません。
そのため、会社の都合で給与天引きをおこなう場合は従業員の過半数の同意を得て労使協定を結ぶ必要があります。
ただし所得税や社会保険料など従業員が納める義務がある支払いに関しては、事務手続きの簡素化のために給与天引きが認められていますので覚えておきましょう。
毎月1回以上支払う義務がある!2ヶ月に1回などの支払いはご法度
会社は、従業員に対して最低でも毎月1回は給料を支払わなければいけません(毎月払の原則)。
給料の間隔が開きすぎると生活費が不足するうえ、公共料金や住宅ローンの支払いなどに追われて従業員の生活が不安定になってしまうからです。
例えば今月の資金繰りが苦しかった場合でも、来月の給料日に2ヶ月分まとめて支払うことはできません。
あくまで月に1回以上となっていますので、月に2回など支払い回数が増えるのは問題ありません。
ただし、回数が多くなる場合も給料日は明確にしておかなければいけませんので覚えておきましょう。
給料日に遅れずに支払わなければいけない
会社経営者は必ず給料日の日付を指定し、遅滞なく従業員に支払う必要があります(一定期日払の原則)。
毎月給料が支払われたとしても日付が定まっていないと社員は計画的に生活費を支払えなくなり、生活に支障が出てしまうからです。
例えば毎月20〜30日の間というように、変動する期日を定めることはできません。
一方で支払日が休日で金融機関が営業していない場合は、日付を繰り上げもしくは繰り下げることは認められています。
ただし月初の場合には繰り下げ、月末の場合には繰り上げて支給しなければ前述した毎月払の原則に反してしまうので気をつけましょう。
日付指定すべきなのは毎月の給与のみとなっており、賞与や臨時の手当には一定期日払の原則が適用されません。
経営者は賃金支払の5原則を全て守って、従業員に給料を支払っていく義務があります。
どうしても支払いができない場合は、先に挙げたビジネスローンや未払賃金立替払制度を活用するようにしましょう。